都市景観スタディーズ


都市景観スタディーズプロジェクトは、都市景観の読解から市街地変容の予測考察を通じて、中期的に変容する都市景観について、空間生成の観点から計画論的に調査研究するプロジェクトです。

毎年、少しずつ調査地を拡げていきながら、都市景観について空間生成的に検討を加えていきます。

本プロジェクトは、中島准教授が東京大学都市デザイン研究室で博士課程在籍時に参加した新宿区の景観計画立案におけるエリア別景観形成ガイドライン策定調査(新宿プロジェクト)での実績を応用して、展開するプロジェクトです。

都市景観スタディーズマップ


都市景観スタディーズ2024:奥沢

3年目の2024年は、世田谷区の奥沢地区を対象に都市景観スタディーズを行いました。奥沢は2024年に「世田谷のまちと暮らしのチカラ―まちづくりの歩み50年―」展でシェア奥沢の模型を製作展示したことから研究室としても縁があり、都市景観スタディーズに取り組みました。

■成果物

都市景観スタディーズ2024:奥沢地区(PDF)

 4-0.奥沢地区
 4-1.自由が丘商業エリア
 4-2.奥沢2丁目歴史と緑の住宅エリア
 4-3.大蛇通り・奥沢神社周辺エリア
 4-4.奥沢商業エリア
 4-5.奥沢1・3丁目住宅エリア
 4-6.田園調布住宅街エリア

※本プロジェクトの成果物は、新宿区エリア別景観形成ガイドラインのフォーマットを参考に研究室独自の調査をまとめたものになります。

■プロジェクト

■都市景観ノート:奥沢の昭和初期の住宅街形成

奥沢は、東京の郊外住宅地として昭和初期にまち開きが進み住宅街として市街地形成された。都市基盤整備が耕地整理を準用した区画整理事業によって進んでいった。またこの地は海軍村と呼ばれ、海軍士官をはじめとする官吏が入居したことで知られ、まとまったゆとりある住宅敷地に庭を構えた良好な住宅地を形成していった。

戦前期の住宅地を歩くと、その区画街路の線形は緩やかに曲がったり、微地形がそのまま残っていたりとその緩さに魅力を感じる。手仕事の延長上にまちの基盤が造られていったことを感じることができるからである。それに沿道敷地の境界部が緑で縁取られているみずみずしい景観を歩くことができる。手入れされた住宅地の暮らしの緑は、心地よい。

現在では、世田谷区の「せたがや地域風景資産」として指定されており、環境保全の施策も行われている。これらを地域住民の手によって維持していくことはその苦労も多いと思われるが、本スタディーズではこうした施策が継続維持されることを意図してガイドラインを検討させてもらった。奥沢駅南側の住宅地は、区画整理でつくられた斜行街路は特徴的なY字路を生み出し、アイストップを生み出している。

奥沢は、世田谷区と目黒区と品川区の区界でもあり、それに区画整理が事業境界となっており、区界ゆえの混在した景観を区ごとの都市計画規制のぶつかり合いとして読み解くとなかなか興味深い。

100年近い住宅地として、敷地内の建て替わりなども経て、築かれた景観は落ち着きがあり、その風景が今後のどのように敷地更新されながらも継承されていくのか考えるよい機会となった。 (中島伸)

■参加学生
 8期生
 栄田航心  轡田美羽  座波梨子  鈴木真凜
 長生祐樹  中島伊吹耀 中原結   中森楓恋
 7期生
 佐藤利香  菅谷真央  髙崎晴菜  中條めぐみ 時田悠輔
 古家可梨  三浦栞奈  水江晴香  内野未唯
 6期生
 代澤瑞   森岡大晴
 5期生
 黄紹泊   原唯菜  森下優里 
 4期生
 岩﨑瑛美 
 3期生
 山﨑翔史 


都市景観スタディーズ2023:二子新地

2年目となる2023年は、東京都市大学世田谷キャンパスから多摩川挟んだ対岸である川崎市高津区二子新地地区を対象に都市景観スタディーズを行いました。昨年度の成果を受けて、方法論を6期生から7期生に伝えつつ、作業を進めました。多摩川河川沿いの旧街道と近世からの集落を基盤に、市街地が形成された街の景観読解を試みました。

■成果物

都市景観スタディーズ2023:二子新地地区(PDF)

 3-0.二子新地地区
 3-1.瀬田エリア
 3-2.二子1丁目北側エリア
 3-3.二子新地246号線沿いエリア
 3-4.大山街道北側エリア
 3-5.大山街道・商店街エリア
 3-6.高架下・住宅街エリア
 3-7.二子3丁目農地エリア
 3-8.諏訪旧集落住宅街エリア

※本プロジェクトの成果物は、新宿区エリア別景観形成ガイドラインのフォーマットを参考に研究室独自の調査をまとめたものになります。

■プロジェクト

■都市景観ノート:二子新地の市街地形成の重層性

二子新地は、大山街道の多摩川の渡しの中継地として、街道筋に市街地が形成されたことが下敷きとなっている。渡し舟は、天候、川の水量によって、時にそこで待たなくてはいけない。そのため、その間を過ごすための宿や料理屋などが発達したのである。川辺の風光明媚な場所として、近代以降も多くの文化人がこの地を訪れ、ここに暮らした。岡本かの子、国木田独歩などがそれであり、武蔵野の原風景がここにあった。次第に市街化が進む中で、多摩川の右岸の低平地の農地や荒れ地は、多摩川に流れる支流などの地形の間で宅地化が進行し、大きな都市基盤整備が経ることなく、高密度な水路敷や路地を張り巡らせた住宅地を形成していくことになる。二子新地の下流側には、諏訪という江戸近郊の農村集落があり、旧集落の構造を核にして、これもまた市街化が進行していく。

そうした中で大山街道に平行して、玉川鉄道(現:東急田園都市線)が開通し、近代以降徐々に進行していた市街地を横断するように鉄道路線が敷かれる。

今回のフィールドワークで気がついたことは、こうした市街化が進行した街区の上に東北方向から南西方向へ延伸した鉄道路線によって、街区は斜めに分断されることで、鋭角と鈍角を組み合わせた交差点が多数発生しており、これが、高密度な住宅地において、アイストップとなるY字路を多数形成していることだった。市街化の履歴において、少し時期を置いて設置された鉄道路線の影響が、その後の住宅地景観において重要な役割を果たしているように見え、興味深い。また、昭和初期から総武線沿線にもほど近い府中街道沿いの農地は、工場へと土地利用が変更され、近年ではさらに集合住宅への建替えが進行している。現在も残る多摩川梨の梨農園も今後もしかすると集合住宅などへと土地利用の変更が起きる可能性もあり、川﨑の都市農地の景観の保全という観点においても注目せざるを得ない。

このように密集した住宅地にあって、二子新地は歴史的な重層性と川のつくる地形が織り込まれた景観であり、随所にその痕跡から地域の特性について考えさせられるフィールドであった。  (中島伸)

■参加学生
 7期生
 山田麗美  佐藤利香  菅谷真央  髙崎晴菜  中條めぐみ
 時田悠輔  水江晴香  
 6期生
 岩澤蒼羽  宇田川雄大 片野坂莉乃 向後美咲 佐々木椋平
 藤田祐基  森岡大晴  山田汐莉  山本慎人 
 5期生
 黄紹泊   原唯菜   森下優里 
 3期生
 山﨑翔史 


都市景観スタディーズ2022:パース

TAP(都市大オーストラリアプログラム)で4ヶ月の留学をしてきた6期生の有志メンバーによる現地での自主プロジェクト。都市景観スタディーズ2022:尾山台での、ノウハウを活かして、さらにオーストラリアでの景観リサーチを行いました。

■成果物

都市景観スタディーズ2022:パース地区(PDF)

 2-0.パース地区
 2-1.Northbridge住宅街エリア
 2-2.Northbridge繁華街エリア
 2-3.Perth Culturalエリア
 2-4.Wellington St北側モダン高層建築エリア
 2-5.Mciver駅北側低層建築エリア
 2-6.Perthショッピングセンターエリア
 2-7.St Georges Terraceオフィスエリア
 2-8.Perth駅南側モールエリア
 2-9.Perth駅南東公民エリア

※本プロジェクトの成果物は、新宿区エリア別景観形成ガイドラインのフォーマットを参考に研究室独自の調査をまとめたものになります。

■プロジェクト

■参加学生
 6期生
 岩澤蒼羽  片野坂莉乃 向後美咲
 森岡大晴  山田汐莉  


都市景観スタディーズ2022:尾山台

初年度となる2022年の対象地は、東京都市大学世田谷キャンパスが立地する尾山台地区のリサーチを行いました。

■成果物

都市景観スタディーズ2022:尾山台地区(PDF)

 1-0.尾山台地区
 1-1.尾山台商店街エリア
 1-2.尾山台3丁目住宅街エリア
 1-3.尾山台1・2丁目エリア~地形と歴史~
 1-4.尾山台1・2丁目エリア~塀と緑~
 1-5.丸子川エリア

※本プロジェクトの成果物は、新宿区エリア別景観形成ガイドラインのフォーマットを参考に研究室独自の調査をまとめたものになります。

■プロジェクト

■参加学生
 6期生
 岩澤蒼羽  宇田川雄大 片野坂莉乃 向後美咲 佐々木椋平
 藤田祐基  森岡大晴  山田汐莉  山本慎人 
 5期生
 池田光和子 石井さやか 金澤碧   吉川遼  鈴木杏奈
 原唯菜   村上楓   湯元朝晴  横山篤志 
 4期生
 岩﨑瑛美  山本朔也 
 3期生
 山﨑翔史 

■メディア掲載

東京新聞に尾山台の景観についてのコメント記事が掲載されました。
掲載紹介ブログ(本WEBページ)
2024年5月2日「のぼりくだりの街 2024年(3)=寮の坂(世田谷区) 緑が沿う S字カーブ」東京新聞 朝刊20面 https://www.tokyo-np.co.jp/article/324742?rct=t_news 


新宿景観プロジェクト2021

本プロジェクトは新宿区景観まちづくり計画改訂作業に伴って、新宿区景観形成ガイドラインの見直しのための調査活動を都内の大学が連携して行われました。

参加大学は、東京大学、工学院大学、東京理科大学、早稲田大学、芝浦工業大学、横浜国立大学、そして東京都市大学です。東京都市大学からは、坂井文教授のエリアマネジメント研究室と都市空間生成研究室が参画しました。

実はこちらの景観まちづくり計画は、2009年に当時中島准教授も東京大学都市デザイン研究室の博士課程の学生時代に調査に関わったもので、当時は東京大学、早稲田大学、工学院大学の3大学3研究室体制で調査されたものです。今回は参加大学がさらに増えて、よりインターユニバーシティの度合いも増して、実施されました。

■プロジェクト成果物

新宿区景観まちづくりワーキング エリア別景観形成ガイドライン改定デザインブック
1-7神宮外苑・南元町エリア(担当:吉川遼)

■プロジェクト
 プロジェクトの活動報告はブログをどうぞ。

■計画策定

 本プロジェクトで検討された新宿区景観まちづくり計画・景観形成ガイドラインは、令和5年3月に改定されました。

 改定された景観まちづくり計画・景観形成ガイドラインはこちらから。

 新宿区景観まちづくり計画・新宿区景観形成ガイドライン(令和5年3月改定版) 

■参加学生 
 3期生
 山﨑翔史 沼尾航平(横浜市立大学大学院)
 4期生
 鈴木千寿
 5期生
 吉川遼